美容皮膚科領域において肝斑は、需要が多くかつ治療に難渋しやすいやっかいな疾患です。
肝斑は30〜40代のアジア女性の多くに認められるシミの一つであり、頬骨などに左右対称性に褐色の斑が現れるのが特徴です。治療はトラネキサム酸内服やハイドロキノン外用が以前からありますが、近年はレーザーをはじめとするデバイス治療との併用が盛んに行われています。
日本では肝斑の治療として、レーザートーニングやピコトーニングを選択される方が多いように思います。それは手の届きやすい価格帯であること、痛みの程度、ダウンタイムの軽さが関係しているのでしょう。
ダウンタイムが軽く、お手軽な治療として紹介されることが多いトーニングですが、実は白斑形成という重大な合併症がおこることがあり注意が必要です。
レーザートーニングによる白斑形成
こちらはレーザートーニング施術後に斑状の色素脱失を生じた患者の写真です。
この患者は2年間、2週間間隔でQスイッチNd:YAGによるレーザートーニング治療を受け、写真のような状態になりました。

Ann Dermatol 2015 Dec;27(6):751-5.
PMID: 26719647
この文献によるとレーザートーニングの頻度は2週間に1回以下にすべきと結論づけていますが、もちろん2週間に1回だから白斑が生じないわけではなく、総回数にも注意する必要があります。このあたりに関しては明確なエビデンスがなく、注意深く治療を行っていくしかないというのが現状です。
レーザートーニングがどのような機序で白斑を形成するかは完全に解明されていません。組織学的には基底層のメラニンのみ減少していたり、メラノサイト自体も減少していたり、またメラノサイトの機能異常を示唆する報告もあります。(詳しくは文献本文をご覧ください)
治療はステロイド外用やタクロリムス外用、ナローバンドUVBの報告があります。白斑は数年かけて改善することもありますが、改善をみとめない場合が多いようです。
どうすれば白斑を防げる?
白斑の報告の多くはQスイッチNd:YAGですが、ピコレーザーによるトーニングでももちろん白斑を形成することはあります。(私も実際に経験があります)
白斑形成を完全に防ぐことはできませんが、毎回写真を比較して悪化がないか確認してくれるクリニックを選ぶことが非常に重要だと考えます。また10回以上続ける際はやはり慎重になるべきで、間隔をのばしたり他の施術に変更することも検討すべきでしょう。
まとめ
レーザートーニングやピコトーニングにより不可逆的な白斑が生じることがある。
毎回写真で確認することが大事で、頻度と総回数にも注意する必要がある。


