皮膚科の外来をしていると、外用薬を塗布するタイミングについてよく質問されます。
特に保湿剤に関しては入浴後すぐ塗布した方がよいと説明されていることが多く、入浴後に急いで保湿している方が多いのではないでしょうか。
入浴後は角質水分量が経時的に減少し入浴前より乾燥することがいくつかの研究で示されており、入浴後の保湿剤の塗布は一般的に推奨されます。
しかしながら保湿のタイミングに関しては、入浴後に一定時間経過してから塗布しても保湿効果はさほど変わらないことがいくつかの小規模な研究で示されています。
保湿剤の効果に及ぼす入浴と塗布時期の関係
日本皮膚科学会雑誌に掲載された、ある研究を紹介します。
日本皮膚科学会雑誌 2011 年 121 巻 7 号 p. 1421-1426
この研究では健常成人8名を対象に40℃、20分間入浴の1分後と1時間後にヘパリン類似物質含有製剤、白色ワセリンおよび尿素軟膏を2週間塗布し、角層中水分量を測定しています。結果は以下の通りです。
入浴1分後と1時間後塗布における角層中水分量の変化量は、
パスタロンⓇソフト軟膏では37.5±20.8 μS および 31.6±20.2 μS
ヒルドイドⓇソフト軟膏では49.0±14.4 μS および 42.0±14.6 μS
白色ワセリンでは16.9±15.5 μSおよび4.9±13.7 μS
いずれも入浴1分後塗布の方が高い傾向が認められるものの、有意な差は認められなかった。
このように、保湿効果は入浴1時間後に塗布してもさほど変わらないことが示されました。
同様に、海外ではアトピー生皮膚炎の患者と健常人を対象とした小規模な研究で、入浴10分後と入浴30分後の保湿では保湿効果に有意差がないことが示されています。Pediatr Dermatol 2009 May-Jun;26(3):273-8.
例えば小さい子供と一緒に入浴するような方は、自分の保湿は後回しになってしまうことも多いかと思います。そのような場合でも焦らず落ち着いた時に保湿すれば大丈夫ですのでご安心ください。
とはいえ入浴後は服を脱いだ状態ですし、保湿するのに便利なタイミングです。最近はお風呂の中で使えるような保湿剤も販売されていますので、そういった製品もぜひ活用してみてくださいね。
まとめ
保湿剤は入浴直後に塗布しても、入浴1時間後に塗布してもさほど変わらない。


