ヒルドイド製剤をはじめとするヘパリン類似物質含有の保湿剤は、日本では皮脂欠乏症に対し保険適応があります。
保湿剤は、吸湿性成分を含み直接的に角層水分量を増加させるモイスチャライザーと、被覆により水分蒸散を抑え間接的に角層水分量を増加させるエモリエントの2つに大きく分類されます。
ヘパリン類似物質はモイスチャライザーに分類されますが、実は角質水分量の増加以外にもいくつか薬理作用があることがわかっています。
ヘパリン類似物質の作用機序
日本皮膚科学会雑誌第134巻第6号(p.1645-1655)より一部引用します。
ヘパリン類似物質の作用機序
①物理的性質による水分保持作用
②細胞間脂質のラメラ構造形成促進及び天然保湿因子の増加による結合水量の増加作用
③表皮バリア機能亢進作用
④血流量増加作用並びに皮膚毛細血管の安定化及び成熟化作用
⑤発汗亢進作用
以上のような作用機序が考えられています。
皮脂欠乏症は様々な要因で発症し、複雑な病態が発症に関わっているとされています。ヘパリン類似物質は角層の水分を保持するだけではなく、多角的に皮膚にアプローチしている可能性が明らかになってきているのですね。
注意点としては、基礎研究や動物実験レベルでの報告が多いことでしょうか。臨床症状や角質水分量の改善についてはヒトでの小規模な臨床試験がいくつかありますが、ほかのモイスチャライザーとの優劣に関してまだエビデンスが不足しているように思います。
また血流増加作用がどの程度のものであるかよくわかっていませんが、皮膚科医の中には顔面に外用すべきではないという意見があります。(特に酒さやにきびの患者)
顔面でも問題なく使用できることが多いですが、もし心配ならセラミドなど他の保湿成分が入った製品の使用を検討してもよいでしょう。
まとめ
ヘパリン類似物質は、様々な作用で皮脂欠乏症に対して効果を発揮する。
エビデンスは不足しているが、顔面への使用は慎重にとの意見がある。


